「ワーク・ライフ・バランス」を考える

「ワーク・ライフ・バランス」とは

アスク研修室でのTRUE COLORS講座の講師を務め、かつファシリテーター育成にあたるトレーナーでもある鷺島利佳が解説します。

ワーク・ライフ・バランスとは読んで字のごとく、「仕事と私生活のバランスをとること」。
しばしば「仕事と生活の調和」とも訳されます。

私はこれまで20年以上、キャリアに関わる仕事をしてきました。その一方で家族療法にも分野を広げ、家族相談士として、ひとり親家庭の相談にも乗ってきました。
「キャリア」と「家族」の2つの領域に取り組んできた私にとって、「ワーク・ライフ・バランス」は大切なテーマのひとつです。

「ライフロール」を振り返ってみる

アメリカの心理学者であるドナルド・E・スーパーが提唱した、「ライフロール(人生における役割)」という考え方をご存じでしょうか。
これは、「人生の幅」を考えるのにとても役に立ちます。
代表的なライフロールとして挙げられているのは、下記の8つです。

  • 子ども
  • 学生
  • 職業人
  • 配偶者
  • 家庭人
  • 余暇を楽しむ人
  • 市民

生まれてすぐは、「子ども」という役割しかありませんが、家庭の中から学校や地域へと世界が広がるにつれて、「学生」「市民」といった役割も担うようになります。

また同時に、「余暇を楽しむ人」として自分の好きなことをしたり、家の手伝いをして「家庭人」としての役割を果たしたりします。これら2つの役割は、自分自身や自分が住む環境をメンテナンスし、ケアする力を養うものでもあります。

やがて学校を卒業すると、「職業人」となったり、新しい家庭をもつことで「配偶者」「親」などの役割が重要な位置を占めるようになります。
最近では、成人後も自分の関心分野について学ぶ「学生」の役割をもつ人が増えていますし、地域活動やボランティアなど「市民」としての役割も生涯にわたるものです。
介護の問題は、「子ども」として親とどう向き合うか、どれだけの時間を割くかという問題でもあります。

「なりたい自分」につなげるために

実は、私はワーク・ライフ・バランスで大変悩んだ時期がありました。
育休後、職場復帰して2年目のことです。

当時、私はあるプロジェクトのリーダーを任せられていました。
自宅に仕事を持ち帰り、子どもがかまってほしがる中、「ごめんね。ちょっと待ってね」ということも度々ありました。

そんなある朝、子どもが明らかに息が苦しそうで、病院に行ったら喘息で緊急入院。
ショックでした。仕事を辞めようかとも考えました。

当時は大学生の支援を行なっており、「他人の子どものケアをしているのに、自分の子どもにはどうなんだ・・・」と、落ちこみました。
私は、仕事と子育てのバランスを客観的に眺める必要性を感じ、ドナルド・E・スーパーのライフロールに従って円グラフを書いてみようとしました。
ところが書けませんでした。

仕事も家庭も100%でやろうとしていた自分に気づいたのです。
できもしないことをやろうとして、もがいていた自分に気づいた私は、代わりに理想の円グラフを書きました。
すると、親という役割が多くを占める円グラフになりました。

もう1つ円グラフを書きました。5年後の自分です。
仕事をしたい自分が見えてきました。今、仕事を辞めるだけでは後悔すると感じました。

となると、5年後の「こうありたい自分」に、今の自分をどう繋げていくかです。
今と5年後の架け橋となる「5年間限定の」円グラフを書きました。
仕事の割合を大きく減らし、学生・市民(ボランティア)の役割を追加しました。

私は、この円グラフを書いたとき、とても楽になったのを覚えています。
どうにもコントロールできないと感じていた役割間の葛藤から解放され、自分で選択・設計できたという自己効力感を得たのでしょう。前に進むことができました。

カギは「自分にとって」という視点

TRUE COLORS(TC)には、自分の状況を客観的に眺め、自分で自分の在り方を選択できるようになるプログラムがあります。
実践講座の「ストレスケアと自己開発」で扱う「ライフライン」と、「対人関係とコラボレーション」で扱う「パイチャート」です。

講座詳細13P1030297

パイチャート

「パイチャート」では、職場や家庭など、まさにライフロールにかかわる場面を複数切り出し、4つのカラーがどのような配分で表現されているのかを見てもらいます。

ある1つの役割をとってみても、実際は人それぞれに、得意不得意、価値や意味づけが異なってくるため、TCの考え方を使うことで、「自分にとって」の視点から深く眺めることができるようになります。

「ライフライン」は、自分が生まれてから今まで、人生のいくつかの時期を4つのカラーを通して振り返るものです。
その時々で、カラーの配分や幸福度を見ていきます。

自分が苦しいときはどんな状態なのか、充実感を得るときはどんな状態なのかを知ることは、今後の人生において大きな指針となります。
特に、苦しかった時期でも決して自分は無力ではなかったことや、自分の在り方はある程度自分で選択・設計できることを知ると、人は自信を取り戻し、前に進めるのです。

そのためには、まず「自分にとって」の視点を持つこと。自分を知ることです。

この土台がしっかりしていないと、「○○すべき」という周りからの言葉に距離を置くことができず、振り回されてしまいますし、何よりも自分の決定に自信がもてません。
TCは「ありのままの自分でいい」ことを体験し、日常で「自分の持ち味」を活かす術を得るプログラム。

自分のワーク・ライフ・バランスを考え、選択するための基盤として、ぜひTCプログラムを活用してみてください。

>>実践講座「ストレスケアと自己開発」についてはこちら

>>実践講座「対人関係とコラボレーション」についてはこちら